2017ヴィーナスカップ優勝は、あさやんさん!
2017年度スプリントカップ第2戦 ヴィーナスカップの模様を、RMUアスリート宮原諒がお伝えいたします。
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ワイシャツのネクタイを緩めて、首元のボタンを外し、駅まで歩くのが当たり前となってきた小暑。
各地で熱い戦いが繰り広げられる中、銀座には108名もの参戦者が集まった。
第一会場、第二会場ともに満卓で、ただ夏の暑さだけとは思えない熱気に包まれて予選が始まった。
大物手をあがる声、気持ちがこもったリーチ発声、悔しさを抑えながらの「はい!」の返事、会場には様々な感情と声が響く。
そして、その感情を、その声をこの大会が終わる最後まで響かせた4名の熱い戦いを観戦記として書かせて頂くことに喜びを感じている。
座順は東家に浅山、南家に瀬本、西家に伊東、北家に渋谷。
持ち越しポイントはほぼ横並び。決勝の順位がトータル順位となる激戦。
もちろん、全員優勝しか狙っていない。
東1局 ドラ
親の浅山が一巡目から丁寧に慎重に手牌を進める。そして、迎えた四巡目には以下の牌姿での聴牌が入る。
ドラ
456の三色同順を視野に入れ、リーチには踏み込まない。
しかし、次巡ツモ
。ここで浅山は少考する。浅山の選択は一切りのフリテンリーチ。開局から優勝を目指し勝負に出る。
リーチ時点では山に4枚いた
がわずか五巡の間に全てリーチを受けた三者の手に渡る。浅山の一人聴牌で一局目が終了した。
東1局一本場 ドラ
北家の渋谷が八巡目と十一巡目に
と
を仕掛ける。それに合わせて親の浅山が
をチーして発と
のシャンポン聴牌を組む。十六巡目に渋谷から放たれた
を浅山がロン。決勝の最初の和了は開局から勝負に出た浅山の2900は3200であった。
東1局二本場 ドラ
わずか三巡目にして親の浅山と西家の伊東が一向聴。そして七巡目、先制リーチは西家の伊東。牌姿は
ドラ
一方リーチを受けた浅山の手牌がこちら
ツモ
ドラ
ここで浅山は現物①を切って回る決断をする。次巡の
をツモり比較的安全そうな
を切り、迎えた十四巡目に
をツモる。
を切ればドラ3の聴牌。ここで浅山は伊東の河をじっと見つめる。そして、選んだ牌は現物の
であった。ドラ暗刻の聴牌を拒否しての見事な放銃回避。
結果は伊東の一人聴牌で流局。浅山は伊東の聴牌形を表情を全く変えずに確認し、ただぐっと息を呑む。
東2局三本場 ドラ
十巡目に対局者全員が一向聴の手牌を組む。全員の視線と願いが自らの次のツモに向けられるような緊張感の中、親の瀬本からリーチの発声が会場に響き渡る。牌姿は
ドラ
そして、次巡伊東も役なしではあるが聴牌をする。リーチはかけず、何牌か勝負をし瀬本と伊東の二人聴牌で流局。瀬本の待ちを確認した伊東の表情は勝負師の視線と若干の安堵が伺えた。
東2局四本場 ドラ
ラス目の渋谷が積極的な攻撃を仕掛ける。配牌が
ドラ
この手牌を八巡目には以下の牌姿へと変貌させる。
ポン チー
ドラ
しかし、ここにきて又しても浅山からの攻撃を受ける。
ドラ
この対決の勝者は浅山。2600と四本場と供託二本を含めて5800点の加点をする。
ここまでの点棒状況は
浅山 395
瀬本 285
伊東 325
渋谷 195
東3局 ドラ
親の伊東が役なしの聴牌を冷静な思考により手牌を変化させてのリーチに踏み込む。聴牌形は
ドラ
この親の伊東のリーチに対して、渋谷は引き下がらない。このままでは終わらせないという想いが伝わるかのように伊東の後を追う。牌姿は
ドラ
渋谷が
を見事にツモあがり、勝負の行方はまだまだ分からなくなった。そして、対局者はもちろんのこと、各観戦者の表情もより引き締まったように映った。
東4局 ドラ
ドラの
対子で123の三色同順も見える手牌を組んだのは前局に和了した親の渋谷。しかし、トップ目の浅山は白暗刻のリャンメン聴牌を息を凝らして構える。そして、手堅く1300を和了する。
こうして東場は攻守ともに冴え渡る選択を続けた浅山が主導権を握る形で終了した。点棒状況は以下の通り。
浅山 388
瀬本 265
伊東 262
渋谷 285
南1局 ドラ
トップ目で親番を迎えた浅山がさらに攻撃の手を緩めない。2巡目に
を鳴き、対々和を見つつ、
を浮かせ打ちし、ドラの
引きにも対応できる形で手牌を構成する。そして、ドラの
を引き入れ、7巡目に
ドラ1の2900の聴牌を入れる。待ちは
。
この浅山の柔軟な攻めに対して、瀬本、伊東、渋谷はお互いに声を発さずとも心を通わせたかのように共通の対応をする。
瀬本の牌姿
ドラ
伊東の牌姿
ドラ
渋谷の牌姿
ドラ
これ以上、浅山を勢いづけまいと瀬本、伊東、渋谷がギリギリまで
を手放さない。そして、この局は包囲網を敷かれたかのように流局。手牌を確認したそれぞれの表情は毅然としていた。
南1局一本場 ドラ
ここまでじっと戦況を見つめていて、攻め所を探っていたかのような瀬本が他家に存在感を見せつける。
ダブ
を
をポンして萬子の混一色の手牌を作り上げる。浅山、伊東、渋谷も少しの粘りを見せるが、押し寄せる萬子と字牌に苦しみ、瀬本の一人聴牌で流局する。
南2局 二本場 ドラ
浅山 408
瀬本 285
伊東 242
渋谷 265
なかなか和了が遠い瀬本と伊東。放銃回避と聴牌料で素点を守る展開に対して、苦しむ様子は全く感じられない。私には両者ともにこのような展開での勝利を幾度となく経験してきているのが表情から伺える程に逞しく映っていた。
そしてこの局、待望の和了をしたのは伊東であった。ダブ
ドラドラを伊東が想い描いたかのようにトップ目の浅山から和了。ついに、浅山を逆転しトップ目に躍り出る。
浅山 322
瀬本 285
伊東 328
渋谷 265
南3局 ドラ
前局の伊東の和了は対局者全員の闘志を一段と燃やす形となり、この局またしてもトップ者が入れ替わることになった。
それは以下の配牌を見事に仕上げた瀬本だ。
ドラ
5巡目には
ドラ
とし、打四。
次巡⑤を引き、一気に筒子に寄せ切って
をポンし、伊東から3900の和了。
瀬本がオーラスを待望のトップ目で迎えることになった。
南4局 ドラ
瀬本 324
浅山 322
伊東 289
渋谷 265
前半を優位に進めていた浅山、この決勝という大舞台で唯一2000-4000をツモあがりした渋谷、浅山の牙城を崩す和了をした伊東、耐えに耐えて首位に立った瀬本。
このオーラスに勝利を手にするのは誰なのか。この会場で1つの卓を囲む対局者と観戦者の誰一人として予想することができない。一瞬足りとも目の離せないラストを、張り詰めて解き放たれない緊張感を、そして栄光の勝利を手にするのは誰なのか。
真っ先に仕掛けたのはトップ目の瀬本。そして、口元を手で覆い、歯を食いしばってドラを切る浅山。和了の厳しい手牌ではあるが、攻めるか親の連荘に望みを託すかをじっくり考えながら手牌を進める伊東。
親の渋谷は全ての対局者の表情を見渡していた。速度的に瀬本、浅山に遅れをとっているのは分かっている。そして、もう一度、伊東の表情を確認し仕掛ける。形は悪いが連荘を目指し聴牌を入れた。
渋谷、浅山、瀬本が聴牌。伊東は次の局を信じて浅山、瀬本の和了牌を手牌に留める。
私は一昨年の年末にRMUに入会してから何度もスプリントカップの決勝を観戦してきた。
優勝した瞬間の選手の表情をたくさん見てきた。安堵を浮かべる者、全ての神経を使い切り疲労感が滲み出る者、自らの勝利に驚く者、今までの苦労や周囲への感謝の気持ちで涙する者、嬉しさを抑え気を引き締める者。
優勝者の表情を観て、私がいつも感じることは、いつか私も。そして、優勝した瞬間の率直な気持ちを伝えるべき人に伝えたい。
今回の優勝者は、優勝した瞬間、素晴らしい笑顔でした。最高に優しい笑顔でした。
日頃から共に戦っているGPC千葉リーグの仲間との参戦。その喜びを応援してくれている仲間、背中を押してくれる仲間と分かち合う笑顔。とても素敵でした。
2017年度ヴィーナスカップ優勝はあさやんさんでした!おめでとうございます!!
最後に、今回ご参加なされた皆様と、運営をサポートして下さった選手の皆様にお礼と感謝を申し上げまして、ヴィーナスカップ観戦記を締めさせて頂きます。
皆様ありがとうございました。
(文中敬称略)
観戦記者
RMUアスリート 宮原諒
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